春の猟犬が
まだ寒いですが、この間雪が降ったのでもうすぐ春がくると思うことにしています。寒いけど。
春がくるとなんとなく頭の中を流れるのが、A.リードの序曲「春の猟犬」
A.リードというのはブラスをやっていると知らない人はいないという作曲家で、日本ではよく演奏されます。
BCL Band Classics Library
広島ウインドオーケストラ/木村吉宏
(「春の猟犬」以外にもテンコ盛りな感じがするCDですね。チャンスのアリランからマナティ、それからシンフォニアノビリッシマと...なんだか僕らの世代のノスタルジィに呼びかける感じ)
「春の猟犬」は中高生がいっつもどこかで練習していたり演奏していたりするわけですが、学生のときからいつも「なんだか妙に官能的な曲だよなあ、リードの吹奏楽序曲のわりに」と感じていました。大人になってこの曲のモチーフがアルジャーノン・チャールズ・スウィンバーンの「カリドンのアタランタ」という詩(劇詩という戯曲)の一節にあると知り、「そりゃ官能的だろうなあ」と納得しました。スウィンバーンの詩を原文で読む中高生とかいたら、それはそれでマセていてどうだろうなとは思ったりしますが。
Poems and Ballads & Atalanta in Calydon: &, Atalanta in Calydon (Penguin Classics)
日本語訳はこちら
スウィンバーンどころか英文学にまったくもって縁遠い僕としては、ギリシャ神話を元にしたスウィンバーンのこれがどんな内容なのか日本語訳を見ることでしか窺い知ることはできないのが「学校でちゃんと勉強しなかった」という気持ちを強くしてなりません。
僕自身が学校でなにを勉強した(ことになっている)かというと、一番アカデミック寄りだったのがフェスティンガーとかドラッガーとかいうような状態で、これはまったくもって一般的にはアカデミックではなく、(と、いうかこういうのは社会人になってから学べばよいことであって)本来高等教育というのはこうした「食うには必須でないこと」を「人生を深めるために」おこなうべきと後で気づいて悔しい思いをしていたりします。
A.リードを「一般ウケする曲ばかり作っている」と一言で言ってしまうような意見もあり、その側面は否定できないけれど、こうしたモチーフの取り方というのは「大衆的なだけの作曲家ではない」という気持ちになったりします。
この「春の猟犬」は僕自身は今まで演奏したことがないけれど、実は作曲家本人の指揮でいくつか演奏したことがあります。「第四組曲」(音楽の街)などは演奏してとても楽しかった曲で、いい経験だったとおもいます。これのモチーフは実は「群馬県高崎市」だったりするのが面白いです。師のサインが僕のトランペットのケースで輝いていたりするのもいい思い出です。
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