« 水のいらないシャンプー | トップページ | 21世紀なんだから と、外反母趾対策? »

2005.03.29

グランドセイコー 背伸び気味?

GS6156僕の手元には70年代GS(グランドセイコー)ハイビート(GS61 スペシャル)があります。GSは以前から多少背伸びしてほしいなとおもっていたところだったのですが、先日GSハイビートを譲ってもらえました。GSは非常にプレミアムをもったブランドだとおもっている時計です。でも今はちょっと動かない。修理に出すつもりで、修理を請け負ってくれるかたを探したところで、ちょっとバタバタしていて出せていないのです。もったいない。

(しかし、ケータイのカメラできれいに写真を撮るってのは、難しいですね、ほんと。

バブル以降、ゲット系雑誌のおかげでROLEXが若い人の間で爆発的に普及してしまったのですが、冷静な目でみれば身なりのしっかりしていない(そしてまだ人格がしっかり作られていない)20代の若者が時計だけROLEXっていうのは(もしくはバッグだけLVだったりするのは)バランスという意味では非常に具合が悪いとおもいます。ブランドって言うのは人間がそれをつけることができるプレミアムをもったときに、それらを持ち歩くことができるようになった人間としての証なわけですから。
だけどまあ、靴と時計というのは身だしなみの中ではよく見られる部分で、多少こぎれいに、かつ、多少はいいものをつけていたいという気持ちもあります。

僕の普段の腕時計はSEIKOかSwatchかDatalinkです。Swatchはちょっと若作りしすぎな気持ちではありますが、クォーツはこれとDatalinkしかもってないし。(Datalinkは「変人」というエクスキューズでどうにかなるんじゃないか?)GS以外のSEIKOの機械式も1本をのぞいてかたっぱしから調整をしなくてはならない状態だったりします。


昔は腕時計は、その高精細なつくりのおかげで、持っていることそのものがプレミアムでした。さらにスイスのそれぞれのブランドが、それぞれ厳しい努力の上に高い精度という腕時計プレミアムの根本的な価値を得て、そののちに芸術性という大きな付加プレミアムをさらに得て、さらに、有名なシチュエーション(事件や人物)で使われるという付加プレミアムを得ることでそれ自体の価値を高めてきたといういきさつがあると思います。

SEIKO、とくにGSは、高い精度という腕時計そののもの根本的なプレミアムについて世界最高の栄冠を手に入れ、これから芸術性だとかシチュエーションだとかいうプレミアムを得ようというときに「クォーツ」というパラダイムシフト(時計の精度についての価値観のひっくり返してしまった革命)がおこってしまい、さらに自分自身でそれを推進してしまったために、根幹のプレミアムを失い、そのためにこれから得られるはずだった付加的プレミアムのほとんどを失ってしまったという悲しいブランドであります。
これはまあSEIKOだけのせいではなくて、産業革命のように歴史的にどうしようもない要因だったし、SEIKOだけでなく、精度という根幹のプレミアムのが崩れ落ちてしまったために時計業界全体がとんでもないことになってしまったということもあったりするのですが。

日本で今ひとつSEIKO、そのなかでもGSが「他のスイス製時計よりも格下」と思われているのはそういういきさつがあるからなのだろうけれど、「どのスイス製時計よりも抜群の高精度の機械式」というプレミアムはやはり大きなものですし、かつそれが自分の生まれ育った国の技術の結晶だと考えるとこれは日本人として誇ることができるプレミアムブランドなのです。

(そういう意味ではいかに芸術性や歴史というプレミアムがあったとしてもムーブメントがクォーツになってしまった高級時計ブランドというのは、時計のプレミアムの根幹がおかしくなっているために価値的には本末転倒な存在だとおもいます。)

ブランド選びはそういうバックグラウンドを理解したうえでするとカッコウよいとおもいます。そういう意味では僕は機械式GSはオススメだとおもっています。
20代でGSっていうのも背伸びだとはおもいますが。(もうすぐ三十路だけど)

|

« 水のいらないシャンプー | トップページ | 21世紀なんだから と、外反母趾対策? »

ファッション・アクセサリ」カテゴリの記事

趣味」カテゴリの記事

コメント

日本メーカーの時計も
デザインがカッコ良くて
いい物が多いけれど…

所詮ブランド大好きな日本人は
見栄で高級時計をローンで組んで買ったりするんですよね
(特に女性は)

考え方を改めてもらいたいもんですねー

投稿: haru | 2005.03.30 10:09

時計とかバッグが欧米のほうがデザインがいいのはあたりまえなんですよ、洋装小物だから。
むこうは有史以来洋装で(あたりまえだから)、こっちは洋装するようになってからたかだか100年ですから、そこは経験的にもしょうがないことなのです。
(逆にLVの和装小物なんてあってもそれは悪い冗談にしかならない)

ただ、時計ってのは、外観だけでなくて機能美も求められるところで、そういう意味ではどこに意味性を求めるかでブランド選びというのを考えるとよりいいんじゃないかな?ということです。
また、もともとああいうものは「自分(たち)だけが所有する」という気持ちを満たすものであるから、こうも氾濫しちゃうとその意味性もうすれちゃうなあ、とおもったのです。

持ち物を身の丈に合わせるって難しいですが、うまくできるひとはカッコウよいとおもうのです。(目指したい)

投稿: akst | 2005.03.30 17:48

そのGSは名機です。
必ずメンテナンスして使用するように。
時計なんて使ってなんぼですから。
飾っててもしょうがないし。
と私は思う。
宝飾品の延長のスイス勢と、はじめはスイスの物まねだったかもしれないけど、デザインよりも時を知るという実用性が第一で、しかも超高精度な機械で実現してしまう日本メーカーでは、どうしても日本のメーカーにシンパシーを感じてしまいます。
かといってスイス製が大嫌いなわけではありません。
結局、技術が未熟な為、クオーツの波に乗ることが出来なかったスイス製機械式がもてはやされるのは因果ですね。
スイス製のクオーツクロノグラフなんかヲタに言わせると酷いらしいですよ。
何十(何百)万円もする時計の中の人が数百円のクオーツムーヴメントなんてこともあります。
がっかりです。
そんな時計持ってないし興味もありません。

10振動の時計は良いです。
クオーツ夜明け前のいっときぱっと咲いた時代のアダ花的雰囲気がたまりません。
セイコーは20振動の機械をテストしてたとか。
ハイビートは、精度もそうですが、姿勢の影響を受けにくいことが特徴です。
ロービートの機械だと、強く振ったりすると進んだり遅れたりします。

全ての機械式時計がもてはやされているわけではなくて、一部のリセールヴァリューのある時計だけが持ち上げられているわけで、そういう意味で機械式時計ブームじゃないんです。
煽っているのはゲット系の雑誌だし、広告出してくれるクライアントに媚びた記事しか書かないし、全く面白くありません。
多分機械式時計に関して、世界一の技術力を持っているメーカー(一点ものは除く)は、ジャガールクルトではないかと考えてます。
欲しいけど買えない。

機械式時計の話になると熱くなってしまいました。
長々と失礼しました。

投稿: 中村 | 2005.03.31 00:01

こんにちは。
GSは必ず使うつもりです。いい時計ですから。この後にロードマーベルとスポーツマンが控えています。機械式SEIKOの古いのは。7s26のS-WAVEは元気です。

日本製品の悲しいところはプロダクトライフサイクルが著しく短いところです。それがプロダクトの価値を下げないために行う施策であることは自明ですが、逆に下げてしまっている例もたくさんあります。

スイス製高級時計を見ていて、ムーブがクォーツでETAだったりすると「じゃあSwatchでいいや」って気分になったります。リセルバリュを時計に求めるのはよくわかんないですから。

ルクルトが似合う大人になるまでどのくらいかかるのかなあ。

投稿: akst | 2005.03.31 16:12

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: グランドセイコー 背伸び気味?:

« 水のいらないシャンプー | トップページ | 21世紀なんだから と、外反母趾対策? »